そんなある日、大役が命令された
新型兵器「魔導ヴァンガード重火力試作型」の実戦テスト
大役と言っても大人数で行うものではなく、手の空いてるものでやっておけ!程度のものだったけれど
まだデータのない新兵器の実戦テスト、キッチリといわれたことを守って望まれるデータを残せれば多少なりとも評価は上がるだろう
それに基地外部での訓練だから、もしかしたら敵軍との交戦もあるかもしれない
それで戦果でも残せたら見る目も変わる
過剰には望まない、けれどこの仕事は成功させて見せる
戦闘テストは極めて順調だった
起動試験、野外における機動力試験、自立走行試験……
用紙に用意された試験内容をチェックし、気づいたことをメモする
志願して随伴してくれた友人も、些細な事も見逃さないように気にしてくれる
だが随伴の軍団兵は退屈そうに緩慢に行動し、欠伸までする始末
怪我だけはしないように注意するが、それ以上は何も言わない
「新型ってのはよくできてるなぁ……、それにしてもあいつらどうにからならんのかねぇ」
いいんだ、言っても聞かないことはわかってるし
それ以上に自分の仕事に集中する方が先だ
チェック項目を半分も終えた頃、本隊より一報が入る
『敵軍から偵察兵が攻撃を受けた模様、新型兵器を用いてこれを殲滅せよ』
先ほどまで弛緩していた空気が途端に張り詰める
戦闘になるなどと夢にも思っていなかったであろう軍団兵は明らかに焦っている
了解と返事し全員に進軍を告げようとすると、友人が本隊に確認をした
「援軍はありますか」
わずかな間の後
『援軍の予定はある、奮闘を期待する』
と本隊は返事をしてくれた
改めて全員に通達し、進軍を開始する
援軍もある、絶対に勝つ、勝って出世する
進軍を開始して数十分……奴らが居た
英雄と呼ばれる天敵と、再会した―――