とあるありふれた帝国兵の話

とあるありふれた帝国兵のお話 第5話 【英雄の足音】

アラミゴ防衛部隊で懊悩とした日々を過ごす間に、本隊である第XIV軍団は大きく状況を変化させていた

 

数年前から行われていたエオルゼア再侵攻作戦

 

侵攻は極めて順調で本隊は(正式な名称、情報は伝えられなかったが)蛮神すら取り込み力にすることのできる超兵器の投入が行われ、勝利は目の前という

そんな常勝の報が入る陰で、一つの噂が立ち始めた

 

『英雄』

 

曰く、そいつらはすさまじい力を持って少数にて戦況を打破し、エオルゼアの『英雄』として戦場をかけぬけているというもの

 

ふん、馬鹿馬鹿しい

戦場の臆病者どもが騙る怪談話みたいなものだ

 

絶大な力を持つ帝国が、理不尽な力がそんなおとぎ話みたいな存在にやられるはずがない

 

もしそんなやつがいるなら戦わせてくれ、武勲を上げさせてくれ

勝った暁には出世をさせてくれ

必ず勝って見せるから

 

しかしこのくだらない噂話は信じ難い情報と共に現実となる

 

リットアティン陣営隊長の戦死

 

その一報はあまりに突然で理解しがたく、部隊は混乱を窮めた

 

 

上層部が部隊の再編と指揮系統の再構築を行う間に混乱している最中に聞こえてきた情報、それは「たった数人の冒険者が陣営隊長を撃破した」ということだった

 

冒険者……そいつらが陣営隊長を倒した?

3国の軍勢でもなんでもない連中が?

 

それが…英雄……?

 

考えないようにした、そうしないと恐怖で動けなくなってしまいそうだから

 

 

 

だがその恐怖は風に舞う火焔の様に本隊を追い詰め、燃やし尽くした

凶報はそれに留まらず次々と舞い込み部隊を混乱に追い込む

 

カストルム・オクシデンス 包囲戦により行動不能

カスッテルム・マリヌムからの補給 洋上からの妨害にあり遮断

カストルム・オリエンスにて戦闘開始

 

カストルム・オリエンスを抑えられた為、援護に向かおうにもこのアラミゴ駐留部隊は動きようがない

これだけの軍勢がありながら、援軍をうつことができないという状況

 

おかしい、なんだこれは?

運は自分に向いていたんじゃないのか?

戦っていたじゃないか、勝っていたじゃないか

なんでこうなる、なんでこうなった?

 

都合のいい妄想だったのかもしれない、だが完全に虚言でもなかったはずだ

侵攻作戦に参戦し、破壊して、出世する

それは現実になりかけていたはずだったんじゃないのか?

 

状況の把握と反抗の準備を行う中、多くの兵士がみてしまう

脳が理解を拒否するほどの、絶望としか形容しようのない爆発

 

閃光と爆炎が遥か遠くで、まるで花火のように鮮やかに立ち上る

その先にあったはずのものは、魔導城プラエトリウム

エオルゼアのどこにいても見えるほどの、間違えようのない爆発が魔導城を包む

超兵器は?ガイウス軍団長は?帝国軍は!?

自分の中にある力の象徴が次々と崩れ去っていく

 

魔導城の爆発を合図としたかのように、敵は勢いを収め撤退していく

まるでもう、ここには興味がないかのように

 

 

 

栄光の懸け橋となるはずの戦場は、戦わせてもくれず消え去った

本隊は瓦解し、孤立無援となった

機会すら与えらず、負けた

 

見たこともない英雄、その足音が聞こえた気がした―――

 

こちらの記事もおススメです!