とあるありふれた帝国兵の話

とあるありふれた帝国兵のお話 第8話 【運がいいから生きている】

あれは作戦の放棄ではなく戦力差による撤退である

 

 

よくもまぁそんな強弁を通せたものだと苦笑いが出る

急きょ呼び戻されたギラバニアの駐屯基地で、生きてることに感謝した

 

作戦指示にコロッサス並びに兵装を使用してならないと明言はなかったため作戦成功の為使用した

当部隊は古代遺跡の探索について他部隊には成しえなかった重要人物と共に目標を捕捉、拘束と奪取の為に交戦

戦力において明確な不利があったためにコロッサスを全機投入し、人的被害を抑えた

状況を報告するために段階的に撤退を行った、あくまで情報を持ち帰ることを優先とした

故に敵前逃亡などはなく、作戦の内容に沿った撤退であった

 

装備を無断使用して独断で先行して敵前逃亡したって事実も物は言いようだ

 

尋問に当たった上官は不愉快さを一切隠さない顔をしていた

だがどこからの指示かはわからないが、処刑などをしてはならぬと命令を受けているのだという

ほどなくしてバエサルの長城がエオルゼア同盟軍の手により占拠されたことにより同盟軍との戦闘が始まる可能性が高い今、余計な損失はできないといったところだろう

 

属州出身の軍団兵は友人以外全員、怪我の大小に関わらずカストルム・セントリに置いてきた

ここに連れてくればどんな扱いを受けるかわからない、あそこなら理解のある人間は多少なりとも残っているし、なにより敵国へ属州兵士の為にリスクを冒して処罰を下しにいくような奴はいないだろう

敵国の方が安全だなんて、なんとも皮肉な話ではあるけれど

 

 

ともあれ処刑などはされず一命は取り留めたものの、周りからの風当たりは当然ながらきつかった

 

嫌悪、嘲笑、軽蔑……

 

食事を取れば「生き恥をさらしても飯は食えるのか」と言われ

仕事をすれば「ロクな仕事をしないのだから手を出すな」と言われ

休憩をすれば「仕事しろ無能」と言われる

もはや息をしているだけで否定される、そんな状況だ

 

連携を重視される作戦には呼ばれなくなり、大型兵器の整備と清掃に明け暮れる冷や飯食らいの毎日が続いていた

 

でも、生きてる

運が向いてるから、生きてる

 

後ろ指では人は死なない、陰口で息の根は断たれない

今はただ言われた仕事を必死にこなせ

最後に勝って笑えればそれでいいんだ―――

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